2021年 8 月 4 日
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TOA株式会社(本社:神戸市、社長:竹内一弘)は、清水建設株式会社(本社:東京都中央区、社長:井上和幸)と共同で、オープンなオフィス空間で交わされる会話音声が周囲に拡散するのを抑制する音環境制御システム「オトノカサ」を開発しました。オトノカサは、打ち合わせ場所の上部を覆う放物面の焦点に設置したスピーカーから、マイクで集音した会話音声を上向きに放射することで、放物面の直下にのみ拡声された音声を提供する指向性会話支援システムです。これにより、打ち合わせ時の声量を抑えてもスムーズな会話のやり取りが可能になり、周囲の執務者も会話音に煩わされずに執務に集中できるようになります。
近年、働き方改革の一環としてテレワークが普及する一方、オフィスには、従業員間のコミュニケーションや協働を促進するための機能がより求められようになっています。これを受け、打ち合わせや従業員の触れ合いの場として利用できる多様なオープンエリアを導入する動きが広がりつつあります。ただ、会話や議論が盛り上がり話し声が大きくなり過ぎると、周囲の執務者がうるささを感じ、集中力や生産性を減じる要因となります。オトノカサはこうした課題を解決するオープンエリアの音環境制御技術として開発したものです。
オトノカサは、放物面状の天井(カサ)と、カサの下で交わされる会話音声を収録するマイク、放物面の焦点からカサに向かって会話音声を拡声するスピーカーで構成されます。焦点から放物面に放射された音声は、パラボラアンテナの原理により一様に真下に向かって反射します。このため、拡声された音声はカサの下にいる人にのみ届き、カサの外には広がらないので、周囲に与える影響を最小限に抑制できます。
実オフィスでの実証実験では、カサの外(カサ端部から1mの距離)での拡声音の音圧レベルはカサの下(中央部)での測定値より約10㏈低く、物理的な音のエネルギーとしては約1/10に抑制できることを確認できました。また、「未来のオフィス空間」づくりに取り組む会員型コワーキングスペース「point 0 marunouchi」にシステムを試験導入し、実際にカサの下で会話をする話者の音声が無意識に小さくなるという結果が得られました。
オトノカサの開発にあたっては、清水建設がシステム構成やハウリング対策の考案、TOAがマイクとスピーカーの組み合わせや出力設定の検討を担当しました。TOAは今後も、清水建設と連携した活動を通じて、執務者がストレスなく働けるオフィスづくりに貢献していく考えです。また、今回の共同開発で得られた技術や知見を活用し、オフィス空間における音の新たな可能性や効果の追求・展開を進めてまいります。