AIを活用した認識技術で、視覚障がい者の安全な移動に貢献
白杖使用者向け音声案内システムを販売開始

2019年 9 月30日

商品

TOA株式会社(本社:神戸市、社長:竹内一弘)は、当社製ネットワークカメラで白杖の通過検知を行うために必要なライセンスを2019年9月30日に発売いたします。

今回発売するのは、当社製ネットワークカメラ「TRIFORAシリーズ」に搭載されたAIにより、カメラで撮影した画像から白杖を検知する機能を使用するためのライセンスです。この機能の活用により、別途画像解析サーバーを構築せずに、白杖使用者の通過を認識して自動的に音声案内放送を流す「白杖使用者向け音声案内システム」が構築可能になります。白杖の検知にはディープラーニングの技術を採用し、高い認識精度を実現。誤検知や見逃しを防ぐ設定機能も充実しています。白杖使用者にとって安全・安心で、より快適な公共空間の実現に貢献します。

主な市場

駅・空港、商業施設、医療施設、役場などの公共施設における設備への誘導、および事故防止案内用途

商品開発の背景

2016年に障害者差別解消法が施行され、政府やNPO団体などによるユニバーサル社会実現に向けた動きも活発になっています。 また国交省も駅ホームにおける安全性向上のための検討会など具体的な取組みが進んでいることに加え、視覚障がい者が単独で公共施設を移動するための配慮が十分とは言えず、利用者や施設管理者からその対応策を求めてられています。

こうした背景に対してTOAは、2018年2月から開始した、神戸アイセンター内ロービジョンケアフロア「Vision Park」においての実証実験を皮切りに、自治体やNPO法人、公共交通機関などと共同で、本システムの実証実験を様々な現場で実施。白杖使用者にシステムを体感いただきヒアリングを重ねながら、認識精度向上や聞き取りやすい音源・音質への変更等の改良を進め、この度実用化となりました。

近年のTOAの取り組み

TOAは画像センシングを中心とした最新のAI技術に、創業以来研き続けてきた音の技術を組み合わせて、様々なソリューションの提供を行っております。今年3月には、人に代わってカメラ内の画像センシングにてアナログメーターを監視し、針が異常な値を示したときには自動検知・発報をする「アナログ計器センシングシステム」の販売を開始。工場などの設備の状態監視を省力化することで、限られた人員の有効配置はもちろん、目視確認や手入力での人的ミスや発見の遅れによる事故発生リスクの削減に役立ちます。

これからもAIをはじめとする最新技術の開発に取り組み続け、音と映像のソリューションを提供することで、人々の笑顔があふれる社会づくりに貢献します。

参考資料

【システム概要図】
※読取り機能を使用するカメラ1台につき本ライセンスが1つ必要
【主な機能説明】

1)ディープラーニング技術の採用により信頼性の高い自動検知を実現
カメラの画角内の物体の「白杖らしさ」をAIが数値化して判断し、一定以上の数値のものを自動検知します。ディープラーニング技術の採用により、傘などの白杖に類似した物体を誤検知しないような学習を行い、特定の白杖だけではなく、通常使用されている幅広い白杖を認識できます。また、単に物体を検知するだけではなく、白杖の移動方向が認識できるため、白杖使用者が進む方向に合わせて必要な音声誘導放送を行うことが可能です。現場状況に合わせて誤検知や見逃しを防ぐための設定機能も充実。高い信頼性を実現します。

2)豊富な連動機能で迅速な対応をサポート
白杖を検知した際、通過方向等に合わせて接点出力、FTPサーバーへの画像ファイル送信、メール送信(カメラで撮影したJPEG画像の添付可)、カメラ画面内への文字表示などができます。施設管理者の迅速な対応をサポートします。

3)蓄積したノウハウに基づく白杖使用者に最適なアナウンス音原案(オプション)
実証実験にて蓄積したノウハウを基に、白杖使用者が周囲の状況を把握しやすい内容での音源案を作成。より効果的な形で音声案内ソリューションをご提供します。

【システム導入までの流れ】

システム導入までの流れは以下のとおりです。

①現場調査
デモ機を用いた現場調査を行い、暗騒音の測定、カメラ設置方向等各設計を実施。

②商品とライセンスの購入、仮設置・調整
お客様に商品と本システム使用のためのライセンスを購入していただいた上で、仮設置・調整を行い一定期間の仮運用を開始。

③本調整
仮運用中に問題が発生すれば都度調整し、その後、本設置・本運用を開始。

  1. ※現場調査・各種調整費は有償となります。
  2. ※レンズカバーの汚れなどで読み取り精度が低下する恐れがあるため、現場環境に応じた定期点検の実施を推奨いたします。