2025年 4 月24日
会社
TOA株式会社(本社:神戸市、代表取締役社長:谷口方啓、以下、TOA)は、総務省が推進する「令和6年度 地域デジタル基盤活用推進事業」において富士通株式会社(本店:川崎市、代表取締役社長:時田隆仁)を代表機関とする社会実証「Wi-Fi HaLowを活用した自助・共助の実現と地域コミュニティ力の強化」に参画し、宮崎県延岡市でおこなわれた避難訓練で「IPオーディオシリーズ」を活用した情報伝達システムの実証を行いました。新しい通信技術であるWi-Fi HaLow™のネットワーク環境下で地域住民主体による避難指示を行える仕組みを構築してその有効性を確認しました。
今回、避難訓練を行った宮崎県延岡市北緑ヶ丘地区は、内陸側の標高が海側に比べて低い地域特性があり、地震による津波到達までの避難タイミングや避難ルートの選定が難しいという課題や、地域において災害時に安全かつリアルタイムに災害・避難の状況を把握するという課題、自主防災組織と地域住民間における情報伝達・共有手段の確保に課題がありました。
そこで、災害時に自主防災組織と地域住民間での情報伝達を円滑に行うため、広域ネットワークWi-Fi HaLowを活用した通信環境を構築し、津波シミュレーションを活用した動的ハザードマップを作成による災害の自分事化の推進、GPS端末による避難者の位置情報の可視化、屋外カメラによる津波の遡上や被災状況などの周辺画像の取得、IPオーディオによる音声放送の実施、地域住民がリアルタイムで情報収集と情報伝達を行える仕組みを構築し、地域住⺠主体の防災による「逃げ遅れゼロ」の実現を目指しました。
2024年12月3日および2025年1月19日の2度にわたって地域住民参加型の避難訓練が行われ、地元の区長が津波の遡上の予測や周辺のカメラ画像を確認しながら音声放送を行うことで、早期の避難を促すとともにリアルタイムでの情報提供が可能となり、地域住民の適切な避難誘導を行うことができました。
新規技術であるWi-Fi HaLowはDuty比で10%の通信制限があり、常時通信する通信帯域を確保することは困難ななか、10秒程度の放送内容であれば間隔をあけながら放送することで通信制限を受けることなく情報伝達ができることを確認しました。また避難訓練参加者のアンケートにおいて、地域の防災組織内での音声による情報伝達機能が有効であるとの評価もいただけました。
自治体からの防災行政無線による音声放送では、地域全域に対して一斉放送を行うことにより、同一の情報を広範囲に届けることができますが、それぞれの地域では地形などの特性に応じて災害被害のリスクが異なったり、避難すべきタイミングが違ったりするため、地域ごとの避難計画に基づくきめ細やかな情報提供が求められます。今回の実証実験を通じて、各地域の自主防災組織内でリアルタイムの情報収集および情報伝達ができる仕組みによって、地域コミュニティ力が強化され自助・共助の支援に寄与できることが確認できました。
「デジタル田園都市国家構想」の実現に向けて、新しい通信技術を活用して地域課題の解決を目指すソリューションアイデアに対し、総務省が公募事業を採択して社会実証を支援する取り組み。
総務省「令和6年度 地域デジタル基盤活用推進事業のご案内」(令和6年3月6日版)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000926226.pdf(約3.5MB)
※「令和6年度 地域デジタル基盤活用推進事業」の公募は終了しています
920MHz帯の周波数を利用するWi-Fi規格の通信手段。IPベースの通信を広範囲のエリアで利用できる特徴があり、映像データも通信可能な数Mbpsのスループットが得られることや免許不要で自衛設置できるため、IoT機器を活用するさまざまなユースケースでの利用に期待されている。
TOA株式会社 広報室 玉井
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