株主・投資家の皆様へ

代表取締役社長 谷口 方啓

現下の当社を取り巻く経済環境は、インバウンド需要の増加や設備投資意欲の高まり、雇用・所得環境の改善など国内景気は回復が見られるものの、原材料価格の高止まりや物価の上昇、不安定な国際情勢による地政学的リスクに加え、米国新政権による経済政策の動向や為替相場の急速な変動など、世界経済の先行きは依然として不透明な状況が続いています。

このような環境の下、2025年3月期の連結業績は、日本国内で業務用放送機器の販売が好調だったほか、中国・東アジアを除く海外3地域でも収益が好調に推移し、売上高は、過去最高となる506億2千6百万円(前年同期比3.7%増)、営業利益は、35億8千9百万円(同18.5%増)となり、増収増益となりました。

当社は現在、2022年3月期~2026年3月期の5ヵ年で進めている中期経営基本計画の最終年度に入っており、「地域ビジネス拡大、グローバル連携」「『つながるビジネス』による収益基盤の強化」「新成長分野の探索・創造」の3つの重点施策により成長を加速させるべく取り組んでいます。

まず地域ビジネスの拡大について具体的には、世界5地域において商品ラインアップの最適化と生産・物流・エンジニアリング体制のグローバルな効率化により利益の拡大を図っています。また、つながるビジネスでは、社内各部門で蓄積した情報が効率的に連携できる仕組みの整備を進めており、これによるサポート体制の充実、集計・分析機能の向上、付加価値の高いソリューション提案につなげています。そして、新成長分野の探索においては、大阪・関西万博にて会場全体を「未来の街」のモデルと捉え、必要な情報を必要なタイミングで届ける伝達手法やBGMやイベントなど会場全体の演出のための仕組みづくりを手がけ、未来社会に実装していくチャレンジを進めています。さらに2024年9月には、オランダのPAX社(※)を子会社化し、世界の空港市場向け放送システムの事業拡大および他市場への展開を見込んでいます。

こうした一連の取り組みを効率的かつ着実に推進していくため、2025年4月よりDX本部を新設し、これまで部門ごとに進めてきた業務の自動化・効率化やデジタルマーケティングを活用したデマンド創出などについて、DX本部が全社的に統括することでデジタルシフトを加速させ、提供価値を最大化するTOA独自の仕組みづくりを追求していきます。

2026年3月期はいずれも過去最高となる売上高545億円、営業利益45億円を見込んでいます。また、将来の成長につながる事業への投資を基本としつつ、株主様への利益還元についても強化し、42円の配当を予想しています。

今後も投資家の皆さまとの対話機会を積極的に創出し、経営の透明性を高めるとともに、投資家の皆さまのお声を経営課題の解決に役立てていこうと考えています。これからも当社へのご理解とご支援を賜りますよう、どうぞお願い申し上げます。

代表取締役社長 谷口 方啓

(※)PAX社:PA-Vox Holding B.V.社